LOGINセレナ王女の悲鳴に俺はやっと我に返った。
「まだ危険だ、出て来ないで!」
彼女が降りようとしたから、俺は慌てて安全を考慮して一度閉じ込める事にした。
他にもいたのか、気づかなかった。
相手は《アサシン》とか《隠蔽》・《隠密》とかの類いのスキルを使ってるんだろうか。「まさか仲間が一瞬で殺されるとは、予想外だったぜ」
姿とも気配も殺気も何も感じない、相手は高速移動しながら草花をわざと揺らして視線誘導でもしているつもりなら、俺も挑発してやる。
「どうした! 女1人にコソコソしないとまともに戦えないのか?」
「安い挑発だな。《アサシン》の俺が正々堂々正面から来ると思ってるのが間違いだぜ……何ッ!?」
背後から声が聞こえて振り返った瞬間、アンデッドの騎士が身代わりとして盾になってくれた。
相手の短剣で破壊されたが、魔力供給で再構築出来たから問題はない。《アサシン》はエクレールに敵意を向けていたから、今みたいにアンデッドが反応しなかったんだな。
彼女の死体からは残存した魔力量が多く放たれていた。『セレナ様……助ける……力欲しい……』
エクレールの死体から後悔の声が聞こえた。
「力を貸してくれ、
彼女の残存した魔力と俺の魔力が融合して、アンデッド化したエクレールが解き放たれた。
「何だそりゃ、《ネクロマンサー》にしちゃ弱すぎるぜ」
《アサシン》が迷わずエクレールに二刀流短剣を叩き込み破壊するが、魔力供給で何度も再構築する。
「行け、エクレール」
『はい、クロエ様!』
最初のアンデッドは喋れなかったのに、エクレールは全身が雷属性化してロングソードの刀剣から青白い雷がバチバチと火花を散らす。
「面白え、俺のスピードについて来れるか……っ!?」
『遅いな』
イキッてた《アサシン》が高速移動していたんだろう。
だが今のエクレールは魔力体だから雷属性を纏うと、全身が雷そのものになった方が早く動く度に、青白色の雷が軌跡を作り出していた。一瞬にして《アサシン》の体を雷のロングソードで細切れにした。
今度こそ終わりみたいで、檻を開くとセレナが降りてアンデッド化したエクレールと対面してしまった。
「貴女はエクレールなの?」
『この様な姿になってしまいましたが、正真正銘のエクレール・ヴァンガードです」
生前とは違い漆黒の軽装鎧、中身は魂みたいに純白に光ってるからな。
「ぐすっ……ぐすっ……。殺されて凄い動揺したけど、貴女とこうして話せるなら何だって構わないわ!」
セレナは泣きながらエクレールに抱きつく事数分間。やっと落ち着きを取り戻す事が出来たみたいだ。
「取り乱してすいません。貴女は敵じゃないのですか?」
一番大事な人が殺されたと思ったら、アンデッドにされるという大事な人の魂を弄ぶ行為をしているのには変わらない。
「俺は敵ではありません、味方ですから安心してください。疑うのはアンデッドですよね?」
「すいません。死体をアンデッドにして操る闇魔法を好む者もいます。特に「神聖教会」の総本山・神聖皇国ルミナスではアンデッドや闇魔法は忌むべきモノとして扱われています」
話を聞くに聖属性で癒したり、アンデッド・ゾンビといった闇系モンスターに効くのは、ゲームでもあるから予想通りだな。
ちなみに聖属性は特別な魔法なのか、イメージですら何ともならなかった。やはり聖職者でなければ使えないんだろうな。「あまり関わりたくはないな。アンデッドになるのはどんな感じ?」
『クロエ様の魔力と繋がっているからなのか、暖かく優しい感情に包まれている心地良くなります。それに魔力が底を尽きる事がないですね』
嫌なら繋がりを断ち切る事も出来たけど、嫌じゃないならそのままで良い。
「そう言ってくれると安心したよ。死体にせよ魂にせよ勝手に弄るのは申し訳ない気持ちもあるからな」
エクレールは俺とセレナの顔を交互に見て答えた。
『私はクロエ様と繋がったアンデッドなので意思疎通は取れますが、行動制限があります。私の気持ちとしてはセレナ様もお守りしたいのですが』
セレナは何か良い事をおもいついたのか、手を叩いて笑顔になった。
「それならエクレールはクロエ様を守ってあげて! そしてクロエ様は私を守るの。それなら公平でしょ?」
『アンデッドとなった今、私には疲労・空腹も感じません! これでお二人を守ることができるなら、死んでも護衛できるのなら……騎士としての本望! クロエ様に永遠に忠誠を誓います』
エクレールは改めて、俺の目の前で片膝を曲げて頭を下げた誓いのポーズをしてくれた。
彼女の近場に転がっている、自身の生首と死体をただじっと見つめていた。「ありがとう、エクレール。死体はどうする? 形だけでも埋める?」
『魂となった今、肉体には戻れません。放置していたら時期モンスターの餌となるでしょう』
「俺の国では火葬なんだけど、こっちでは土葬?」
『ここは墓場ではないので、夜には
話を聞くと『神聖教会』のシスター達が神聖魔法で土地を浄化する事で、アンデッド系モンスターになるのを防いだり、
俺のアンデッド達は神聖属性に対して、やはり弱点なのだろうか……。
そこは気になるが、今の問題はそこじゃないな。俺は《ファイア》を使って、エクレールの死体を火葬してあげる。
「形はどうあれ、私はエクレールがいてくれたら良いわ! クロエ様には私達を助けてくれたお礼に、ローゼリア城に招待したいの。お母様にも紹介したいし」
王女のお母様って事は……王妃様?女王様? 変なトラブルに巻き込まれるのは嫌だが、彼女の気持ちも無碍には出来ない。
『ここまで歩きには2時間は掛かりますが、どうなさいますか?』
王国のお城へ向かう事になったのは良いが、どうやって行くかだな。
王女の乗る馬車は半壊して乗れない、足となる馬は出血してたのか、血を垂らしながら逃げたのだろう。「他のアンデッド達は森の中を散開して、足になるモンスターを捕まえてきてくれ」
俺の影の中にアンデッド、生前はエクレールの部下だった女性騎士、女性化した盗賊数人が命令通りに動いてくれた。
さっきから殺した《アサシン》の死体から、残存した魔力が放たれているがアンデッドにしたら戦力になるだろうが……エクレールを殺した奴だし抵抗がある。『クロエ様。私の事はお気になさらず。戦力補強として強い力を手に入れるのは何も悪い事ではありません』
王女様を守ってくれる強い奴等が、増えるのは何も悪い事ではないな。
「分かった。今まで何人の人を殺したのかわからないが、これからは俺の為に力を貸すんだ。
《アサシン》の死体からアンデッド化した魂が這い上がると、やはり生前とは違い美女になってしまった。
露出度が高めの『暗殺系防具』なのだろう、防御力が低い代わりに攻撃力・俊敏力が高くなる装備となっていた。「お前は今から罪を背負う者として『シン』という名前を与える』
名前を与えると自意識が芽生えたのか、片膝を付いた。
『クロエ様に忠誠を誓います。まずは私の力をお見せ致します』
「グルギャアアアアアッ‼︎‼︎」
獣の如き咆哮を上げながら四足歩行型の
『あれは冒険者ギルドではAランク指定。
『《乱撃斬》』
そう答えたシンは二刀流の短剣を振るうと、ブレードドラゴンに無数の斬撃を浴びせた挙句、またもや頭部を切断してしまった。
相手を確実に仕留めたと安心する為にも、頭部切断した方が良いのだろうな。「凄いなシン。仲間にして良かったよ」
『凄いのはクロエ様です。私は生前よりも明らかに強くなっています』
やっぱり俺の魔力が異常なんだろうな、異世界人だからか?
「君の力を貸してくれ、
ブレードドラゴンの死体からアンデッド化した魂が這い上がると、生前よりも少し小さくなった分魔力密度が高まっていた。
「君はこれから『ブレイド』だ」
『グルギャオオオオッ‼︎‼︎』
生前のブレード状の両翼も切傷があったり、少しだけ刃こぼれがあったのに、今では鋭利で鋭く仕上がっていた。
ドラゴンの死体も放置するのは勿体無い、やっぱり収納魔法・《インベントリ》は使えないのか?
試しにイメージしてみると出来てしまった。ブレードドラゴンが魔法陣の中に沈み込んだ。「では俺達は檻に乗って、『ブレイド』に荷馬車を引っ張らせようか」
「まさか上級魔法まで使えるとは、もう何でも出来そうですね」
やっぱりこの世界は術式・魔法陣・詠唱等によって魔法を発動する仕組みになっているのだろうか?
魔力とイメージだけで自由に発動できる俺は規格外なんだろうな。こうして俺達はブレイドに引っ張らせて、ローゼリア王国に向かう事にした。
石畳の道を馬車が歩いていると、空からファイアドラゴンの群れが睨み付けていた。 地上のモンスターならともかく、空を飛ぶモンスターには神聖属性の魔石の効果が届かないみたいだな。 魔力汚染されたファイアドラゴンの両翼が真っ赤に燃え上がり、口元へと炎熱が溜まりーー。『グルギャオオオオッ‼︎‼︎』 激しい咆哮と同時に、高純度の熱線を吐いて襲って来た。「ど、どどどどうしますか!? A級のファイアドラゴンですよ!?」「この中にいたら大丈夫ですよ」 《魔導障壁》が展開されているとさっき説明したが、いきなりこんなモンスターが襲って来るのは予想外だったのだから、ゼルンが慌てふためくのは仕方ない。 前の馬車にいたセレナとシグルーンから届いた《念話》を、頭上にある電話機を取る。と言ってもアンティーク風なデザインで話だけできるタイプだ。「上のドラゴンはどうしますか?」「私が片付けてましょうか?」『ボク達なら楽勝だけど』 確かに今の皆なら楽勝だろうけど、空中戦なら時間が掛かる。 ならばこちら側も空中戦に切り替えて、簡単に決着を付けた方が早い。「大丈夫だよ。空中戦が得意な天使達がいるからな。ルミエル。天使達と共に行け」『我がマスターの為に勝利を捧げるぞ!』 俺の魂からルミエルを筆頭に出ていった天使達が、炎の熱線にわざと飲み込まれながらも直接、ファイアドラゴンの開いた口から脳天へと剣を突き刺さして倒した。 《魔導障壁》か展開されている馬車にはダメージ一つなく、炎の熱ささえも感じない。 室内は一定の温度調整されているから、暑すぎず・寒すぎない環境となっている。 ゼルンは窓を開け身を乗り出して、見上げながら驚いていた。「あのファイアドラゴンが……蚊みたいに落ちていく……。あの天使は神聖教会が召喚する召喚獣・天使ですな! よろしければファイアドラゴンの素材を買い取らせて頂きたい。ラヴレスト王国の鍛冶屋に素材を卸しましょう!」「では到着次第取引しましょう」 今が楽しくて物流のことを完全に忘れていた。 ルミエルに頼みファイア・ドラゴンを全て収納魔法・《インベントリー》に収納する。「まさか《インベントリー》までお使いになれるとは、やはり魔導士としての才能もお待ちだとは」「商人なら沢山の物を持つから必須だと思っていましたが?」「それはそうなんで
それからゼルンが常連客になったり、ラヴレスト王国へ向けて準備期間中は高級宿泊宿に泊まってもらった。 王国正門前に来たゼルンはツルツル・スベスベの健康肌になっていた。 表情もトロける様にニコニコ笑顔になり、十分満足してくれて良かった。「キャメロットに数日滞在した感想はどうですか?」 現代の高級ホテルを個人的イメージで改装してあるから、もしかしたら不満やクレームがあったらまた改善しないといけない。 大浴場ではサウナを取り付けたり、働き探しの女性にスキル・《マッサージ》を習得させた。マッサージを受けたがる冒険者が多くて収入も多く入って助かっている。「全てが最高でした。クロエ様! 女性メイド達は皆一流でワシがお願いしようと思ったのを先読みして動いてくれる」 メイドにはスキル・《読心術》を与えているから、お客の思っている事は全て筒抜けである。 普通の客は当然の事ながら、中には一般人・冒険者に扮して他国からのスパイがいるかもしれないからな。 逆に《読心術》対策として心を読ませない、警戒心が強い者も怪しいとメイド達に警戒している。「大浴場はどうでしたか?」「王族の大浴場にもなかった「ジャグジー」なるモノは、泡が出てとても気持ちよかったです。「サウナ」では全身から汗が吹き出した後に水風呂に入る。というのを教えてもらいましたよ」「それは良かったです。マッサージはどうでした?」「可愛く、美人な女性達に全身マッサージを受けさせてもらったのですが……全身の筋肉がほぐれて、まるで天国に行ったかのような気持ち良さでした」「満足してくれて、私も嬉しく思います」 男性にとっては可愛い女性、美女にマッサージされるだけでも十分嬉しいのは当然、それが全員プロレベルだからさぞ気持ち良かっただろう。 ゼルンはこれから乗る馬車に目をやると驚いた。「これがクロエ様が乗る馬車ですかな? 見た事ない素材……これは鉱石を加工して使用しているのですか!?」 《ネットショップ》から引き出したチタン合金を使って、新しく現代風馬車を職人に作らせてもらい、軽量で頑丈だから馬の負担も軽減できる。 この世界の馬車はガタガタと揺れが激しいかったり、座り心地が悪く腰・お尻が悪くなるからな。「座り心地が良いソファを使っております、それに揺れは一切感じないので中で食事しても溢す心配無用です」「
あれから数日後。 キャメロット領土全体へと道路整備が広まる中、キャメロットの王国民の魔力がない一般女性も働ける様に、酒場とは別店舗『メイドカフェ』をオープンしていた。「おはようございます。ご主人様! お好きな席へどうぞ!」「朝からクロエちゃんの笑顔見るのが、一日の始まりになっちまった。モーニングセットをお願いしようかな!」「ありがとうございます。ご主人様に「モーニングセット」入りました!」 厨房ではスキル・《料理人》を共有化したお陰で、プロ顔負けの料理レベルを客に届けられる様になった。 基本的には朝食はパンケーキ類、サンドイッチ類、トースト・目玉焼き・カリカリベーコン。ザ・西洋人の口に合った朝食となっている。 王国民はリーズナブル価格となっていて、他所から来た冒険者・観光客からは適正値段として提供。 気に入れば王国住民となれば、俺が経営している店舗は安い価格提供できる。 また扉が開くと鈴が鳴り、新たなお客が入って来ると挨拶した。「おはようございます! お好きな席へどうぞ。はいお待たせしました。『トーストセット』です。おかわりのコーヒーをどうぞ」「待ってました! ありがとよ。クロエちゃんに淹れてもらうコーヒーなら無限に飲めるってもんよ」 待ってる間に空のコーヒーカップに注ぐと、他の客達からはサービスと接客業を褒められた。 上質な布地の洋服を着て、明らかに裕福層と分かるぽっちゃり男性客は店内と俺達メイドの姿を見ると……呆気に取られて目が点になっていた。「あ、あぁ……。そこのメイドよ。ここは酒場……とは違うのかね?」「ここは『メイドカフェ』といって、メイド達がお客に食事を定期するメイド型レストランとなっています。今は『モーニングタイム』なのでコーヒーを頼めば"無料"でバタートーストが付いて来ます」「むりょ、無料だと!? なるほど、その分は低品質な小麦やバター等を使っ……」「おいおい、おっさん。文句言う前にまずは自分の目で確かめて見ろって。ここのバタートーストに目玉焼き、カリカリベーコンを乗せて食うと美味いんだからよ!」 カウンターにいる若者が聞こえていたのか、今届いたばかりのトーストセット・無料トーストを見つめてギョッと驚いた。「こんな分厚いパンが無料だと!? こんな売り方正気の沙汰とは思えないぞ! ワシはラヴレスト王国で商人をし
「おぉ、これはとても綺麗だな」 魔力汚染の原因だったアンデッド公爵の魂が成仏した瞬間。 黒く濁っていた地下水が、ゆっくりと透明さを取り戻していく。 やがて地下ダム全体は、宝石のように透き通った神聖水へと変わっていた。「まさか綺麗な真水を国中で飲める様になるのね!」 《鑑定》を発動して水質検査したところ、《神聖水《極上品質》》という結果から、これで気兼ねなく飲めるだろう。 水属性魔導士による、ぼったくり詐欺被害も少なくなるとみていい。 試しに飲んでみる事にした。「うん、ここまで来た時の疲労感が一気に回復したな」「やっぱりクロエ様の作る水はとても美味しいです!」「最近はこの水のお陰で、他の水が飲めなくなったわね」 俺が神魔力を手に入れてから、仲間達は普通に飲む事が増えたから、味が変わらないというお墨付きだ。 セレナとシグルーンは絶賛しているが、モルガンは一口一口をゆっくり味わって喉を潤して答えた。「こんな美味しい水を日常的に飲める貴女達が羨ましいわ。この味を国民に早く教えたいわ」「今は頭上に神聖属性を発動しているから、神聖水のままだ。一度効果を切ったら直ぐに普通の水に戻ってしまう」 ダムの壁面に神聖属性の魔法陣を展開して、相乗効果が得られる様に複数を貼り付けておいた。 これで外から流れた魔力汚染された水も流れた瞬間、即座に神聖水に変えられる便利機能だ。 そこにニーナが提案しだした。「そこの魔法陣に私の《バフ》も術式に加えても良いですか? 一般庶民は戦闘とは関係ないですが、健康面や怪我の回復力を高める事が出来ます」「そうだな。この水を飲んだり、この水を使ったアルコール類や炭酸水で《バフ》を得られる冒険者だって、増えてくれると頼もしいしな」 ニーナが神聖属性の魔法陣に《身体強化》・《魔力汚染無効》・《状態異常無効》・《体力上昇》・《魔力上昇》・《全能力値50%上昇》の術式を加える。「こんな《バフ》見た事ないわ。他国が見たら国民を徴兵して戦争レベルにする勢いだと勘違いされるわね」「徴兵はともかく、魔力・スキルが無いから冒険者になれない国民だっているはずだ。自ら率先して冒険者になりたい人も増えるはずだ!」 早速期待しながら、気長に待つ事にしよう。「次の改善は獣道の道路整備だったわね」「それは職人達と働きアリ達に任せてある。明日
この数週間でキャメロットとローゼリアンデッドの両国民に早急に洋式便器の設置を広める事が出来た。 最初は3人みたいに抵抗感を見せられたが、1人に体感させて爽快感を知ってもらい、そこから1人又1人と少しずつ広める事に成功した。 ローゼリアンデッドの方は元から下水道処理もされているから、簡単に終わったが、キャメロットの方はあまり処理されておらず、少し手間取ったが早急に終わらせる事が出来た。 これで悪臭問題だけでなく、疫病対策にも繋がるから心配は消えた。 モルガンは、まさかコスト0で国中の大工事を終わらせた事に大喜びしていた。「まさか短い期間で終わらせられる何て奇跡よ!」「両国民から汚物の悪臭が消えたって声も聞いたな。それほど国民も実は嫌がっていたんだな。次のインフラ整備としては……」 モルガンが持っていた改善リストを眺めるも、まだまだ沢山あるが一つずつ改善していけば終わらせられる。 それに働きアリ達も仕事を欲している。 人手不足を補える上、必要な道具も全て揃えられるから、最低限のコストで進められる。「次は水道・浄水問題だな」 基本的に水属性魔導士以外の人間は、飲み水をアイテム屋で購入する必要がある。 他にも水属性魔導士が氷・水を商売しているが、ぼったくりにも程がある金額だ。 生きている以上飲み水は必要不可欠だからな、お金が無くても飲める様に王都市部・各地域にある井戸水を綺麗にしなければならない。「魔界から流れる魔力のせいで、大地も汚染されているから自然の水は危険ね。死にはしないけど……体調不良何てのもあるわ」 キャメロット王国の地下には、山脈から流れ込む巨大な地下水脈が存在している。コレも神聖教会のシスターに水を浄化してもらっていた。 俺のせいでお布施として、ぼったくられていたのだとか。 まさか俺のせいで、他国の民がツケを払っていた事になるとは申し訳ない。誰も飲み水に困らない国を目指さないとな。「そもそも何でゲートをあそこに作って、魔王や魔族共は仕掛けないんだ?」「前回の勇者様と魔王の決戦によって、魔王と魔王軍は壊滅的な打撃を受けたわ。その証拠に10年は魔王は見てないわ」「それで前回の勇者様は?」「無事、我々人類が勝利を収めたけど……勇者は依然として行方不明。噂によると魔王と相打ちなったと言われているわ」 もしかしてまだ魔界
Aランクモンスター、盗賊団を片付けてキャメロット王国に帰還した。 大量の素材をこのま収納しておくのも勿体無いし、鍛冶屋に行ってみる事にした。 店内はガランとしていて、本来は商品として壁には防具・武器等が並べられていてもおかしくないはずだが何も無い。 店の奥に行っても鍛冶道具は一通り揃っているが、炎は付いていないし人の気配さえない。「これは一体……」 俺の代わりにアーサーが答えてくれた。『ここには鍛冶屋がいたんだけどね、冒険者も限られているし、武器素材となる鉱石、モンスター素材も手に入りにくいからといって国を離れてしまったんだよ。騎士専用の鍛冶屋はいても……一般向けの鍛冶屋はいないんだ』「まずは国が安全になったと各国に教えて、商人達の開拓ルートにもなってもらう必要があるな。さっきみたいにモンスターや盗賊にも襲われないようにしたり、馬車が歩きやすく歩道整備したりね」 正門から続く獣道も魔界の魔力に汚染されていて、馬自体が歩くには問題ないが荷物詰めていると歩き辛くなる。 ここは綺麗な海もあるし、旅行には最適の立地だ。 初心冒険者はともかく、強いモンスターと戦いたい上位冒険者だっているはずだ。 一般市民や他国の貴族が安心・安全に旅行できたり、冒険者達の為に武器屋・防具屋・アイテム屋等を取り扱う人間を呼ぶ事。 そして何よりまずはインフラ整備を整えないといけない、じゃないと他所から人が来ても何も他揃ってないじゃ意味がないな。 ♢♢♢ 俺の《ネットショップ》から引き出したお菓子・洋菓子を堪能していたモルガンや一部の貴族に相談する事にした。「……という事で、まずはインフラ整備から始めようと思う。どうかな?」「……え? どういう事!?」 楽しく会話していたのから一転、いきなり言われてモルガンは素っ頓狂な声を上げてしまった。 シグルーンは「またこの展開……」と一言愚痴って、呆れ果てていた。 今度は分かりやすく丁寧に説明したら、何とか理解してくれたものの、デスクワークの引き出したからリストを見せてくて、説明してくれた。「新女王様がこの国を見て、ある程度の状況を知ってもらえたけど。この国は人類の最終防衛ラインと言っても過言ではないの」 リストにはインフラ整備する部分・人員補給・人員を招く宿費用の合計金額に対して、王国の税収は大赤字







